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第4Flower Garden











★シロツメクサ

 シロツメクサはマメ科の多年草で,
 ほぼ日本全土の空き地や田畑に普通に見ることができます。

 シロツメクサの別名はオランダレンゲといい,
 ヨーロッパから渡来した帰化植物です。

 江戸時代の頃,オランダ船の積み荷の詰め物としてこの草が使われ,
 日本に入ってきました。
 この草の種から白い花が咲いたので,
 シロツメクサといいます。

 三つ葉のクローバーは希望,信仰,愛情をさし,
 四つ葉のクローバーは幸福をあらわします。

 四つ葉のクローバーを見つけたら,
 人には言わないで,靴の中に入れるか,服に縫い込んでください。
 そうしないと,幸福は訪れないそうです。


 野原一面に咲いたシロツメクサをあらわした
 詩人・宮沢賢治の童話『ポラーノ広場』の一節です。

  すっかり暗くなった野原で,

  彼らはほのかに白い明かりをみつけました。

  『おや,つめくさの明かりがついたよ』

  ファゼーロが叫びました。


 シロツメクサの花言葉は『約束』『感化』です。 
 





★リュウキンカ

 リュウキンカはキンポウゲ科の多年草で,
 本州・九州にある山野の湿地や沼地の水辺などに咲いています。

 花茎はまっすぐに立って高さ50pくらいになるため,
 立金花(りゅうきんか)と名づけられました。

 北国では,リュウキンカは遅い春の訪れを告げる使者で,
 清らかな冷たい雪解け水の流れの中で,
 茎を立たせて黄金色の花を咲かせている様は,
 一生に一度は見ておきたいといわれている風景です。

 英名は「沼のマリーゴールド」です。


 リュウキンカにまつわる伝説があります。

  ある少女が美しい青年を愛しましたが,
  青年の愛を得ることはできませんでした。

  そして少女は恋敵に対して嫉妬し,
  あまりに強い嫉妬のために死んでしまいました。

  その少女が姿を変えて
  黄金色のリュウキンカになりました。
  
   
 リュウキンカの花言葉は『必ず来る幸福』です。






★フジ(藤)

 フジはマメ科フジ属のつる性落葉高木で,
 高さは5〜10m,5月に薄紫色の花を咲かせます。

 長く垂れ下がる薄紫色のフジの花は, 
 古くから日本人に愛されてきました。

 英名は「ジャパニーズ・ウィステリア」といいます。

 平安時代,貴族たちはこの花の優雅さを愛していました。

 そして,「藤」を気品のある女性の名前としたり,
 位の高い人は藤色の衣装を身に付けていました。

 フジには多くの園芸種がありますが,
 なかでも大阪・野田池の名をとったノダフジは有名です。

 ノダフジは,時の太閤・豊臣秀吉も
 見物に訪れたといわれています。


 フジにまつわる万葉の歌を紹介します。


   − かくしてその人の死ぬという藤波の

           ただ一目のみ見し人ゆえに −  


〈 こうして,人は死ぬこともあるとか。藤の花の波のように

         思いを離れない,ただ一目見た人のために…… 〉


   
 フジの花言葉は『あなたを歓迎します』です。






★レンゲツツジ

 レンゲツツジはツツジ科ツツジ属の落葉低木で,
 丈は1〜2m,4〜6月に花を咲かせます。

 英名ではジャパニーズ・アザレアとよばれています。

 北海道から九州に分布し,日当たりがよくて,
 火山灰土のような,やや乾燥した排水のいい場所を好みます。

 
 若くして亡くなった草壁皇子(くさかべのみこ)を偲んで,
 皇子の舎人(とねり)が詠んだ歌です。


  − 水つたふ 磯の浦廻の石つつじ

         茂く咲く道を また見なむかも −



   ( 美しく咲いている石ツツジだけど,

     皇子が亡くなってしまったのですから,

     たぶん,もう見ることはないでしょう。 )



 レンゲツツジの花言葉は『情熱』『節制』です。






★ササユリ

 ササユリはユリ科ユリ属の多年草で,
 丈は50〜100センチ,
 6〜7月に薄紅色や白色の花を咲かせます。


 古事記にかかれたササユリの物語を紹介します。

  神武天皇はあるとき大和に出向き,
  三輪山近くの山里で数人の少女に出会いました。

  その少女の中に,五十鈴姫命(いすずひめのみこと)という
  清楚で美しい姫がいました。

  その姫の家は狭井川(さいがわ)のほとりにありましたが,
  川の両側には美しい佐葦(さい:ササユリの古名)が咲き誇り,
  狭井川は佐葦川とも呼ばれていました。

  五十鈴姫命を見初めた神武天皇は
  ササユリの香り高い家で愛を語り合い,
  ふたりは結ばれることになりました。



 ユリの花言葉は『純潔』です。






★スズラン

 スズランは北海道,本州,九州に生えるユリ科の多年草で,
 花茎の高さは15〜25センチ,
 4〜6月に香りのよい白い鈴のような花を咲かせます。

 スズランは幸福を運ぶ花として,
 世界中から愛されています。 

 フランスでは「聖母の涙」と呼ばれて,
 5月1日に贈ると,
 相手に幸福が訪れるといわれています。

 ドイツでは花が階段のように咲くので「天国の階段」といい,
 日本では君影草(きみかげそう)と呼ばれています。

 また,茎や根には毒性があり,
 イギリスでは心臓に効く薬草として用いられてきました。


 イギリスに伝わる話です。

  深く暗い森に巨大な毒蛇がすみ,
  夜ごと村人や家畜を襲ってきました。

  村人の苦しみを救うため
  森の庵に住む聖レオナルドが立ち上がりました。

  聖レオナルドは口から炎を吐く毒蛇と3日戦い続け,
  やっとのことで毒蛇を倒しました。

  神はこの戦いの勝利を祝し,
  聖レオナルドが血を流した場所を聖なる場所として,
  白いスズランの花を咲かせました。

  聖レオナルドの森では,
  今でも小さなスズランが咲き誇っています。


 スズランの花言葉は『幸福を取り戻す』『純愛』です。






★ノアザミ

 ノアザミは本州,四国,九州の山野の生える多年草で,
 茎は上部で枝分かれし,高さは60〜100センチくらいです。

 5〜8月に,鋭いトゲのある葉とは対照的に,
 淡紫色の刷毛のような形をした花を咲かせます。 

 アザミの仲間は世界で250種ほどあり,
 特にヨーロッパでは身近な花として愛されてきました。

 アザミを持ち歩けば魔除けになり,
 またアザミの取り囲まれた夢は吉夢といわれています。

 北欧では雷神の花とされ,
 落雷除けにされているそうです。


 スコットランドに伝わる話です。

  13世紀,デンマークとスコットランドが戦争をしました。

  デンマークは,スコットランド城を包囲し,
  ついには城壁をつたって攻め入ろうと裸足になりました。
  
  ところが濠は一面のアザミ畑で,
  一歩足を踏み入れたデンマーク兵はアザミを踏みつけ,
  その痛みのために悲鳴をあげて逃げ帰ってしまいました。

  スコットランド軍はこれを機会に反撃し,
  ついには勝利を得ました。

  スコットランドでは,
  アザミは国を救った花として「国家の象徴」とされています。



 アザミの花言葉は『厳格』『独立』です。







★アイリス(ハナショウブ)

 アイリスはアヤメ科アヤメ属の総称で,
 北半球の温帯を中心に約300種が分布します。

 古代エジプトでは, 
 3枚の花びらを信仰,知恵,勇気の象徴としました。

 アイリスのうちハナショウブは,
 ノハナショウブから改良された園芸種です。

 丈は60〜80センチ,6月に美しい花を咲かせます。

 江戸後期に,現在の東京都葛飾区に花菖蒲園がつくられ,
 多くの花見客で賑わったことは,
 広重の浮世絵などでもよく知られています。


 アイリスにまつわるギリシア神話です。
  
  侍女イリスは,
  全知全能の神ゼウスの妻・女神ヘラに可愛がられていました。

  ある日,イリスはゼウスに見初められてしまい,
  求愛されてしまいました。

  困ったイリスは女神ヘラに,
  「どこか遠くに行かせて欲しい」と願い出ました。

  ヘラはその願いを聞くと,
  七色に輝く首飾りをイリスの首に掛け,
  神の酒を三滴イリスにふりかけました。

  イリスは虹の女神に変わり,
  天上と地上を結ぶ使者になりました。

  その時ふりかけた酒のしずくが地上に落ち,
  そこにいつしかアイリスの花が咲くようになりました。



 アイリスの花言葉は『恋のメッセージ』です。













★アジサイ(紫陽花)

 アジサイはユキノシタ科アジサイ属の落葉低木で,
 樹高は1〜2m,
 日本をはじめとするアジアが原産地です。

 花期は6〜7月,
 ガクアジサイが品種改良された装飾花で,
 よく公園や庭などに植えられています。

 花の色は青や赤紫など変化がありますが,
 培養土が酸性かアルカリ性かで花色が変わるといわれています。


 万葉の歌人・大伴家持の歌をひとつ紹介します。

 この歌は,741年に家持が
 妻の坂上大嬢(さかのうえのおおとめ)に贈った歌です。



    言問(ことと)はぬ

    木すら紫陽花(あじさい)

    諸弟(もろと)らが

    練(ねり)の村戸(むらと)に

    あざむかえけり


 
    ものを言わない木でも,
    紫陽花のように色を変えて何かを訴えようとします。
    ましてや人間は言葉を巧みに操るので,
    わたしも諸弟ら(妻)の練達の心に
    すっかりだまされてしまいました。 

 

 アジサイの花言葉は『移り気』です。







★カワラナデシコ

 カワラナデシコは日当たりのよい山野や河原に生える多年草で,
 ナデシコの名でも知られています。

 高さは50〜100センチ,
 秋の七草のひとつとして数えられていますが,
 秋とは名ばかりで,夏の暑い盛りから咲いています。

 万葉の歌人である大伴家持は,
 見初めた女性には,まずナデシコの歌を贈ったといわれています。

 優雅で可憐なナデシコの花は別名「大和撫子」ともいい,
 ひかえめで芯の強い日本女性をたとえる言葉になりました。
 
 
 ナデシコにまつわる昔話です。

  昔,東の国に悪霊の宿る大岩がありました。

  岩の前を人が通ると,
  風を吹かせたり,笑ったり,うめいたりして
  人々を怖がらせてきました。

  ある日,ひとりの武将が大岩の悪霊を退治するため,
  弓を引いて,大岩に矢を打ち込みました。

  見事に矢が打ち込まれた大岩からは,
  大急ぎで悪霊が逃げ去っていきました。

  その後,打ち込まれた矢は抜けることなく,
  そのまま花になりました。

  この花がナデシコといわれています。



 ナデシコの花言葉は『いつも愛して』です。







★ネムノキ(合歓木)

 ネムノキはマメ科の落葉高木で,
 本州,四国,九州で分布しています。

 夜に葉を閉じて眠ることから
 「合歓木」という名前がつけられました。

 6〜7月に薄いピンク色の花を咲かせます。

 河原や明るい林縁に自生しますが,
 庭木としてもよく栽培されています。

 樹皮は打ち身や咳止めの薬になり,
 葉は染料,材は桶や屋根板に使われます。


 万葉の歌を紹介します。
 

  吾妹子(わぎもこ)を聞き都賀野辺(つがのへ)のしなひ合歓木(ねぶ)


  吾(あ)は隠(しの)び得ず間(ま)無くし思へば  



  いとしいあなたの声を聞きたときの私は,

  まるで都賀野のあたりにしなう合歓木のよう。

  私の歓喜した心は,

しのび隠そうとしても,とてもできません。

  たえずあなたに恋い焦がれているのだから。     



 ネムノキの花言葉は『歓喜』『心地よさ』です。







★ラベンダー

 ラベンダーはシソ科ラベンダー属の多年草で,
 地中海沿岸からインドが原産地です。

 草丈は1〜2m,開花時期は6〜7月です。

 ハッカの仲間で,ヨーロッパではローマ時代から
 香りの高い薬草として大切にされてきました。

 乾燥させたものを棚に入れて,
 洋服への移り香を楽しんだり,
 匂い袋に入れて身に付けたりします。


 昭和40〜41年に「中三コース」と「高一コース」に連載された
 筒井康隆の『時をかける少女』では,
 ラベンダーの香りが物語の鍵になっています。

  中学三年生の芳山和子は,同級生の深町一夫,浅倉吾郎とともに
  放課後に理科教室の掃除をしていました。

  和子は実験室で怪しい人影を見かけ,
  その時にラベンダーの香りをかいだことで,
  時間を超えてタイムトラベルする能力を身につけました。

  和子はこの超能力の謎を解明しようと,
  実験室で見かけた怪しい人影の人物に会うため,
  数日前の実験室にタイムトラベルします。

  そしてそこで和子が見かけたのは,意外な人物でした。

  和子は自分の超能力の謎を知ることになりますが,
  同時に,淡い恋心とともに,
  ある人物にかかわるすべての記憶を消されることになります。


    きっと,会いにくるよ。
    でも,その時はもう,きみにとっては,新しい,
    まったく別の人間として………。

   和子の意識は,しだいに薄れていった。
   だがかの女はけんめいに,かぶりを振ろうと努力した。

    いいえ,わたしにはわかるわ………きっと。
    それが,あなただということが。



 ラベンダーの花言葉は『私に答えてください』です。







★サギソウ(鷺草)

 サギソウは本州,四国,九州の湿地に生えるラン科の多年草で,
 高さ20〜50センチ,7〜8月に純白の花を咲かせます。

 サギソウは日本原産の花で,
 清楚で高雅な花は,古くから多くの人に愛されてきました。

 以前は湿地にごく普通に自生していましたが,
 今ではめったに見ることができなくなりました。

 
 戦国時代のお話です。

  常磐姫(ときわひめ)は政略結婚で,
  世田谷城の吉良頼康に嫁ぎます。

  しかし常磐姫の心は頼康に通うことはなく,
  両家の間に戦が起こってしまいます。

  捕らわれの身となった姫は,
  可愛がっていた鳥のサギに文を結んで飛ばしました。

  しかしサギは打ち落とされてしまい,
  姫も殺されてしまいました。

  その後,姫が住んでいた世田谷城には,
  夏になると一輪の白い花が咲くようになりました。

  その花がサギソウです。



 サギソウの花言葉は『繊細』です。






★ひまわり(向日葵)

 ひまわりは北アメリカ原産のキク科1年草で,
 インカ帝国では太陽の象徴とされてきました。


 ひまわりは太陽の方向に花が動くと信じられてきました。

 しかし蕾の時期しか花は動かず,
 明るい方を向いて花びらが開くと動かなくなります。


 ひまわりにまつわるギリシア神話です。

  池にすむ姉妹のニンフは,水の精によって,
  水の上で遊ぶのは夜が明けるまでと決められていました。

  ある日,2人は水の精の掟を破って,
  水の上で夜明けを迎えてしまいました。
  そして,雄々しく天をかける太陽神・アポロンを見てしまったのです。

  2人はアポロンに見とれてしまい,
  アポロンも2人を見て優しくほほえみました。

  アポロンに恋した姉は,自分の想いをアポロンに伝えますが,
  アポロンが愛したのは妹であることを知ります。

  絶望した姉はそのまま何日も野原に立ち続け,
  1本のひまわりになってしまいました。

  今でも可哀想なひまわりは,朝から日暮れまで,
  太陽の姿を追い求めています。


 ひまわりの花言葉は『あなただけを見つめる』です。






★オオバギボウシ

 日本各地の山地に生えるユリ科の多年草で,
 花茎の高さは50〜100センチ,
 観賞用に栽培もされています。

 ギボウシの仲間は,アジア東部に約40種が分布,
 1本の細長い茎に,ラッパ形の美しい花がたくさん咲ことから,
 多くの人に愛されてきた花です。

 海外では品種改良が盛んで,
 世界中にギボウシ協会があるなど,
 海外で絶大なる人気を誇っています。


 中国の伝説です。

  夏の月夜に,張という笛の名人が笛を吹いていると,
  空から美しい天女が舞い降りて,
  張に笛の教授を願いでました。

  張は熱心に天女に笛を教え,
  天女も次第に笛の秘曲を覚えていきました。

  空が白みはじめ,張は天女との別れの時が来ると,
  天女に,今宵の思い出の品が欲しいと願いでました。

  天女は玉かんざしを抜いて張に投げましたが,
  張はこれを見失ってしまいました。

  その後,玉かんざしが落ちたところから,
  美しいギボウシの花が咲くようになりました。



 ギボウシの花言葉は『沈黙』です。






★マツムシソウ(松虫草)

 沖縄を除く日本各地の山地の草原に生える2年草,
 花期は8〜10月です。 

 名前の由来にはさまざまな説があります。

 果実の形が巡礼の持つ仏具「松虫鐘」に似ているという説や
 松虫(鈴虫)の鳴く頃に咲くからという説などがあります。


 謡曲『松虫』の話です。

  ある男が秋の夜長に,
  涼しげに鳴く虫の音を聞き入っていました。

  そして草むらで鳴く松虫の美しい音色に惹かれ,
  男は声のする方に歩いていきました。
  
  しばらくしても,いっこうに男は帰ってきません。
 
  心配した友人は,男が消えた方を探してみました。
 
  そこで友人は,息絶えている男を見つけたのです。

  現在,その場所は「松虫塚」といわれ,
  たくさんのマツムシソウが毎年のように咲いています。
  


 マツムシソウの花言葉は『私はすべてを失った』です。







★花タバコ

 花タバコは南アメリカの熱帯地方原産の多年草ですが,
 温帯に植えると1年草になります。

 1492年,コロンブスが新大陸サンサルバドルに上陸したとき,
 インディアンからプレゼントされたのがタバコでした。

 1518年頃,スペインの宣教師によってヨーロッパにもたらされ,
 その後世界中に広がりました。

 花は6月から咲き始め,
 遅いところでは8月までみることができます。

 8月29日の誕生花にもなっています。

 ところが,良質な葉タバコをつくるため,
 花はすぐに切り取られてしまい,
 美しい花を見る機会はあまりありません。


 台湾に伝わる伝説です。

  ある日,心のやさしい娘は自らの死期をさとり,
  父にそのことをそっと告げました。

    私はもうすぐ死んでしまいます。
    私の墓に新しい草が生えたら,
    それを私だと思って大切の育ててください。
  
  数日後に,娘は本当に死んでしまいました。

  そして,娘の墓にそばに1本の草が生えはじめました。

  父は娘の願いのとおりに,
  生えてきた草を大切に育てました。

  娘の墓にそばに生えた草は大きく育ち,
  やがて枯れ葉となりました。

  この枯れ葉がタバコのはじまりだといわれています。



 花タバコの花言葉は『君あれば淋しからず』です。







★キョウチクトウ(夾竹桃)

 インドからイランにかけての亜熱帯が原産の常緑低木で,
 竹のような細い葉と,あでやかな桃色の花を咲かせます。

 花は6月頃から9月頃まで,長い間咲いています。
 
 また,乾燥にもよく耐えるので,
 街路樹や公園の木としてよく利用されています。

 枝からでる白い汁には有毒成分があり,
 目や傷につけないような注意が必要です。
 
 葉には強心作用を引き起こす成分が含まれていて,
 強心薬の原料に利用されていますが,
 「ジギタリス」に似た強心作用を示すようで要注意です。

 一般には有毒植物として取り扱われているそうです。


 スペインの伝説です。

  ある村に,二人暮らしの貧しい母と少女がいました。

  ある日,少女は原因不明の高熱に倒れ,
  生死の境をさまよっていました。

  母は徹夜で,一生懸命少女を看病しましたが,
  いっこうに少女の高熱は下がりません。

  疲れ果てた母は,
  最後に聖ヨセフへ祈りを捧げました。

  「どうか娘を元気にしてください。」

  どのくらいの時間がたったでしょう……
  突然,部屋の中にまぶしい光がさしこみました。

  すると,少女の枕元に
  見知らぬ人が立っていました。

  その人は寝込んでいる少女の胸元に,
  一枝のキョウチクトウをそっとおいて,
  そのままフッと消えてしまいました。

  母はその人が聖ヨセフだと確信し,
  再び心からお祈りを捧げました。

  すると,少女の高熱はどんどん下がっていき,
  これまでのように元気になりました。

  その後,キョウチクトウは
  「聖ヨセフの花」と呼ばれるようになりました。  



 キョウチクトウの花言葉は『危険』です。







★オミナエシ(女郎花)

 日本各地の山地に生える多年草で,
 「秋の七草」のひとつに数えられています。

 茎の高さは60〜100センチ,
 花は8〜10月に黄色い花を多数咲かせます。

 「あわばな」という別名は,
 小さな黄色い花を粟粒に見たてたものです。

 昔,粟飯は女性の食べ物だったので,
 女飯(おみなめし)が転じて,
 「おみなえし」になったといわれています。

 オミナエシは万葉の昔から,
 日本人の心をとらえて離さない花でした。


 万葉集から,歌をひとつ紹介します。


  わが郷に今咲く花の女郎花(おみなえし)

      堪(あ)えぬ情(こころ)になほ恋いにけり 


  《 わが郷に,今咲いているのはオミナエシの花です。

    オミナエシを思うと,
    堪えがたいほど,いっそう恋しく思ってしまう。

    美しい娘になったあの子が何と恋しいことか。 》




 オミナエシの花言葉は『親切』です。







★トリカブト

 トリカブトの仲間は北半球の寒帯や暖帯に約300種が分布し,
 日本には30種ほどが自生しています。

 花は鳥の頭や兜のような形をしていますが,
 この形は特定のハチだけに蜜を吸わせ,
 花粉を運ばせるために進化したものといわれています。

 また,トリカブトは毒草としても有名です。
 根にはアコニチンなどのアルカロイドを含み,
 これは植物の中ではもっとも強い毒です。

 トリカブトの毒が体内にはいると,
 けいれんや幻覚,呼吸麻痺を起こしますが,
 一方では漢方薬としても使われています。


 ギリシア神話を紹介します。

  英雄・テセウスは長い旅の末,
  再びアテネのまちに帰ってきました。

  しかし,父である王・アイゲウスはテセウスの顔がわからず,
  目の前のテセウスを,自分の息子だと気づきません。

  テセウスは身分を隠したまま,
  王に盗賊や怪物を退治したほうびを要求しました。

  しかし,テセウスが旅に出た後に王の妃となった
  魔女・メディアはテセウスの存在に気がつき,
  王にテセウスを殺すように進言しました。

  宴の場で魔女・メディアが
  毒の入った酒の盃をテセウスに差し出すと,
  テセウスは微笑んでメディアに話しかけました。 

  「妃よ,この美酒はまずあなたが口をつけてください」

  すると,メディアは鬼のような形相になり,
  盃を床にたたきつけて逃げ去りました。

  盃の毒酒は床に飛び散って,
  大理石の床は見る見るうちに泡だって溶けました。

  魔女・メディアが酒に入れた毒は,
  トリカブトだったのです。
   


 トリカブトの花言葉は『復讐』です。