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≪雪の北八ツ越年山行≫



  山行日:  2005年12月31日(土・元旦)〜1日(日)・2日(火) 2泊3日
  山行先:  西天狗岳(2645m)・東天狗岳・硫黄岳(2742m)・唐沢鉱泉・硫黄岳山小屋
  天 候:  31日 晴れ 1日 晴れ 2日 吹雪後曇り
  Member:  金川 勝夫 和美

 〈行 程〉

 05/31(土)
 立川(10:50)→茅野(12:50着・13:00発)―送迎バス→唐沢鉱泉(13:45着) 
 宿泊 (-.-)Zzz

 ≪感 想≫

 2006年の正月は、久しぶりに越年をして雪の北八ツに登ることとした。そこで北八ツの麓にある唐沢鉱泉に先ずは宿泊をする。送迎バスにて2時に唐沢鉱泉に着く。宿に入るとロビーや廊下の壁に色とりどりの数多くのドライフラワーが飾ってあり、その見事な花の演出にもう、「良く出来ているわね。」などと笑みを浮かべながら和美は大感激で部屋に案内されて入る。部屋は8畳ぐらいの広さでこたつが部屋の真ん中に置いてあり、これも冬の宿という感じで何故か落ち着いた雰囲気を醸し出している。

 お茶を飲んで一息ついた後、時間的にもまだ早いためブラッと散歩に出ることとした。宿から20分ぐらい歩いた所に「唐沢滑滝」という滝が有るとのことで、雪面をサックサックと音を立てながら久しぶりの雪の感触を感じ晴天の下白く輝く銀世界をお互いポッカリと足跡をつけながら歩を進める。途中に川添から一直線に山に向かい兎の足跡が可愛らしく付いており、雪面ではどうしても足跡が付いてしまうのできっと動物達も行動には一苦労をしていることだろう。

 やがて一寸した雪の斜面を越えて、雪と氷で凍結した唐沢滑滝に着いた。水の流れは全くなくただ真っ白くなっているだけで、滑滝という感じはしていない。きっと新緑の頃や紅葉の時などは、その滑滝の流れがさぞ綺麗であろう。しかし、それにしてもこの自然の造形美に比して、何と今年はいやな事件が余りにも多かったことであろうか。2006年こそ穏やかな年であって欲しいとせつに願いそこを後にし宿に戻った。

 宿に着き早速温泉に行き冷えた身体を温める。左右の湯船の真ん中から冷泉が滾々と出ており、それを加熱し左右の湯船に熱めのお湯と丁度良い温度のお湯と振り分けて分配をしている。以前は温度で温泉と鉱泉に分けていたが、現在はその成分で温泉という名称を使っても良いこととなっている。その事からいえばこれも鉱泉ではなく温泉の部類にはいるのであろうが、昔から「唐沢鉱泉」と呼ばれているので、鉱泉という名称を用いているのであろう。温泉好きの私は、ゆっくりと温まっては、ザブッと水を頭からかぶってまた、温泉に入る。そしてサウナにも入ってまた、水を頭からザブッとかぶりすっかり気持ちよくなり部屋に戻り冷たい缶ビールを飲み一寝入りをする。

 やがてウトウトとしていたら、5時30分、夕食の時間となったので階下の食堂に行く。何と大勢のお客が既にテーブルについているではないか。やはり、年齢層は中高年が圧倒的である。その八割方が一般のお客という感じで、後の二割が山行に来たという感じである。食事は山だけに豪華というほどではないが、鯉の甘露煮、山菜類等々、素朴な家庭的な料理が並んでいる。特別料理の注文をした猪鍋に火を付けて冷たいビールと共にこのアツアツの猪の肉を食べる。最近は猪の肉と言っているのだが、実際はイノブタの肉を使っているので、そのことを宿の方に確認をしたらこの宿の主人が猟師も兼ねているのだそうで、間違いなく猪の肉であるとのことだ。

 そんな夕食が済むと大晦日ということで謝恩を兼ねての忘年会が始まる。ドーンと大きな樽酒が置いてあり、好きなだけ飲んでくれと気前よくご馳走をしてくれる。私はもう意地汚いもので、ニコニコしながら樽酒を柄杓でくみ結構大きなコップでそれを飲む。「ウンメイ。」甘口の丁度良い喉ごしでお変わりを何杯もしてしまった。他のお客さんも大晦日ということで、みんなご機嫌になり、和気藹々で行く年、来る年の一時を楽しんでいる。サア、先ずは空くじ無しの抽選会が始まり、私達は、7等の唐沢鉱泉のバスタオル、5等の栗の花の蜂蜜が当たった

 その抽選会が済むと今度は、ビンゴゲームとなり、宿の方が読み上げる数字に一喜一憂をしながら時よりリーチの声がかかり、順次ビンゴの方が出て景品を貰う。そのビンゴゲームも佳境となり、終わりに近づいた頃和美がビンゴとなり、何と日本鹿のあの立派な枝分かれした角がついた鹿の鞣し皮があたってしまった。この宿の主人が猟師だけに毎年年越しの忘年会には、景品に出しているのだそうで、しかし、それを貰っても明日から山に登るので困ってしまい結局、着払いで送ってもらうこととした。そんな年越しの忘年会も終わりまた、温泉には入りもう、樽酒がすっかりと効いているので紅白歌合戦も何のその、夢見心地で聴きながら爆睡をしてしまった。

 〈行 程〉

 06/01(日・元旦)
 唐沢鉱泉(9:00)→西尾根(10:15)→第1展望台(11:25)→第2展望台(12:15)→西天狗岳{2645m(14:30)}→東天狗岳(15:00)→硫黄岳{2742m(15:00)}→硫黄岳山小屋(17:20着) 宿泊 (-.-)Zzz

 ≪感 想≫

 サア、2006年の始まりだ。どうぞ、この一年穏やかな年であって欲しいと願い、先ずは朝風呂に入り朝食を取る。元旦だけに御節料理とお雑煮の料理が出てそれをしっかりと頂き、オーバーヤッケ、オーバーズボン、ロングスパッツ、アイゼン、ピッケル等々の完全雪山装備となり、いざ、硫黄岳山小屋目指して出発である。心配された天気も元旦の今日は、ピーカンの快晴で登山にはモッテコイの日和である。

 唐沢鉱泉から少し歩き唐沢にかかる小さな橋を渡り、対岸に出て山の斜面に取り付く。積雪量は思ったほどは多くなくアイゼンの爪をザックザックと雪面にくい込ませ快適に元日の旭を浴びながら一歩、一歩と行きの斜面を登って行く。シラビソの木々が雪の綿帽子をかぶり白銀の世界を私達二人だけで朝の冷たい霊気を頬に受けながら登るこの充実感は何物にも代え難いものがある。そんなセンチメンタルな余裕のある思いは最初のうちだけで登るに連れて徐々に高度は増し、それだけに足運びが何時日か遅くなってくる。

 やがて出発してから1時間少々、西尾根の分岐点に到着をしここで一本立てての休憩を取る。一般に天部だけに登る登山者は、この西天狗岳に到るコースは、余り使用せずにほとんどが、渋ノ湯から黒百合平を経て東天狗岳に登り、双耳峰を成している西天狗岳は、東天狗岳からのピストン登山をしている。この直接唐沢鉱泉から西天狗岳に登るコースは、標高差、770mのバリエーションコースとなっている。

 休息を取り更に歩を進めて行くとやがて第1展望台に着いた。景色は最高で遠く白銀に輝く峰嶺が望まれる。そして更に歩を進めて針葉樹林を抜けると第2展望台に到着をする。ここからの眺めは素晴らしくこれから登る真っ白に輝く西天狗岳が見え、更に赤岳、硫黄岳、阿弥陀岳が威風堂々とその雄姿を見せ遠く白鳳三山等が望まれる。この第2展望台を下り針葉樹林帯に入った所で昼食を採る。唐沢鉱泉の弁当を食べ水の補給をし、いよいよ最後の西天狗岳の急登となる。何と昼食タイムの休憩を取ったために身体が代えって重くなり、この雪面の急登が辛くなってきた。ここら当たりからピッケルを杖に一歩、一歩とノロノロと登って行く。踏み固められた雪面は、足の踏ん張りが効いて良いのだが、そうでない柔らかい雪面は、足の踏ん張りが効かずそれだけに急速に足の疲労が増してくる。

 そんな艱難辛苦の後、それでもやっと西天狗岳の山頂に到達をした。間近に東天狗岳、
南八ツの主峰赤岳が阿弥陀岳、硫黄岳を従えて屹立している。遠望すれば白鳳三山、甲斐駒、仙丈岳、鳳凰三山等々の峰々が聳えている。この絶景に疲れも吹き飛び暫し佇む。記念写真を撮り前方の東天狗岳に向かうために西天狗岳の雪の急斜面を下降し、鞍部から今度は東天狗岳のガレ場を登り東天狗岳に到着をした。時間は午後3時、ここから硫黄岳山小屋まではどう見ても3時間はかかってしまう。正月だからといって朝風呂などに入り、9時に出発というのんびりとした気持ちが後半こうしてツケとなって跳ね返ってきた。やはり、山の計画はしっかりと採らなければ後から必ずその逆襲に遭遇する良い経験かも知れないと反省をする。

 速度を速め風が強くなった尾根道をドンドンと歩いて行く。陽は早くも西に傾いてきて寒さが一段と増してくる。根石岳を通過し樹林帯に入り、硫黄岳の山小屋までは、どうも無理があるので途中の夏沢峠の小屋で今日は泊まることとした。木々が大きな綿帽子をかぶりメルヘンの白銀の世界へ何だか迷い込んでしまったような静寂と神秘の幻想的な誘いに疲れも手伝って気が遠くなってきそうな感じである。

 ギクッ、夏沢峠に着くと何と二軒の小屋は閉まっているではないか。陽はかなり暗くなり、私達を拒むが如く風は突風となって襲いかかってくる。これでは何としてでも硫黄岳を越えて硫黄岳小屋に行かなければとんでもないことになる。そこで落ち着いて先ずはポットの熱いお湯を飲み、ミカンを食べて腹に力を入れ、いざ、自分に気合いを入れて突風が吹く中を硫黄岳の急登に挑戦をする。イヤー、その風のものすごいこと、時たま身体が突風のためにヨロヨロとし、慌ててピッケルを雪面に突き立てる。この硫黄岳は突風の吹く登山者泣かせの山であり、それだけに陽が暮れ一段と寒さが増してきており、その疲れた身体には急登が本当に堪えてくる。

 一方の和美は余裕のヨッチャンで平気の平左で登って行くではないか。この体力、脚力の差は、いかんともし難く、私はピッケルを杖にして歩幅も狭く小声で中島みゆきの「地上の星」を口ずさみながら自分に克を入れ突風のために頬が痛くそれに右足の踵が登山靴に擦れて痛むし本当に最悪の状態で和美に先導されながら登って行く。そんな本当に難行苦行の末、やっとどうにか硫黄岳山頂に到達をした。ここからはガレ場の下りとなり、ヨロヨロしながらもやっとのことで硫黄岳山小屋に5時20分、到着をした。   (^_^)

 小屋に入ると中はとても温かく思わずホッとため息が出る。小屋はとても清潔で綺麗に整頓されており、小屋主の人柄が伝わってくるようだ。さっぱりと着替えてから食堂に行き、今日は元旦なので新年会をやるとのことで、缶ビール、お酒等の振舞酒が出される。御節料理もあり、登山客10名と小屋の主人との談笑が始まる。小屋の主人の話によると同じ経営にある最近夏沢鉱泉をRenewalして、とても綺麗にしたから今度是非、利用をして欲しいとのことであった。その話を聞き《ゆーぽぴあ》でも来年辺りは、スノートレッキングで利用をしても良いと思った。何しろ雑談は延々と続いているのだが、私達はお酒も入り疲れも手伝って、眠くなってしまいその場を後にし2階の寝室に行き眠ることとした。

 〈行 程〉

 06/02(火)
 硫黄岳山小屋(8:30発)→硫黄岳山頂(9:00)→赤岳鉱泉(10:20)→美濃戸山荘(12:00〜12:30)→美濃戸口→太陽館(13:20〜14:48)―バス→茅野(15:50発)→吉祥寺

 ≪感 想≫

 目覚めてどんな様子か外に出てみると何と猛烈な風と雪が吹き付けているではないか。これでは予定をしていた横岳から赤岳そして文三郎尾根を下り行者小屋から美濃戸口へのコースは、あきらめるより仕方が無く赤岳鉱泉から美濃戸口へ下ることとした。朝食はさすがはお正月だけに不便な山の小屋でもちゃんとお雑煮が出て御節料理も副えてあった。
食事を済ませ しっかりと雪山の装備をして、小屋番さんに御礼を告げ外に飛び出すと「ピューー、ピュユーーン」と音を立てて猛吹雪が襲ってきた。雪片が目の中に入ってきてとても痛く目を開けていられず、頬は吹雪のために冷え痛く鼻水がダラダラと垂れてきて、なんともだらしのない顔となり、息つく暇もないような最悪の状態である。猛吹雪のためにガレ場をヨロヨロしながらもどうにか硫黄岳山頂に着き道標に従って、赤岳鉱泉の方へ向かったのだが夏道とどうも違っており下山のルートが見つからず猛吹雪の中を暫し彷徨する。それでもどうにかやっと下山ルートが見つかり安堵の胸を撫で下ろし下山開始となる。下降して直に樹林帯には入りあの猛吹雪が嘘のように止んで快適な雪の下りとなる。

 やがて見覚えのある赤岳鉱泉に到着をし、ここでお湯を飲んで一休みをしてまた、下山開始をする。赤岳鉱泉の傍の広場には、30mぐらいの高さの人工的な氷壁が作られており、そこで氷壁のClimbの練習をしているClimberの一団がおり、今しも女性がその氷壁に取り付き登って行く。そんな様子を少し見てからまた、アイゼンを効かせグングンと下降して行く。沢を何度か渡り平坦な林道に出てやがて美濃戸山荘に到着をしここで温かいうどんとビールの昼食を済ませまた、雪の林道を歩いて太陽館に向かいここでお風呂に入りさっぱりとして缶ビールを飲んでこの雪の北八ツ越年山行にPeriodを打った。

                               オシマイ (^_^)