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光岳



 都会の猛暑から脱出して、7月30日(金)〜8月2日(月)に南アルプス
の南部にある光岳(テカリダケ)に行ってきました。
 この光岳は南アルプスの南部にあって、アプローチが厳しくて、つい誰もが
取り残してしまいそうな地味な山です。それでも日本百名山にしっかりと数え
られており、とても静かなマイナーな山です。

 山行日   7月30日(金)〜8月2日(月)
 山行先   南アルプス南部「光岳」
 標 高   光岳  2591、 1  イザルガ岳  2540 易老岳2354茶       臼岳 2603  
 天 候   山行中晴天

 山行記

7/30

 行 程   三鷹自宅(4:22)―車→東名高速入口(4:45)→
       御殿場ドライブイン(5:40〓5:57)→日本平ドラ
       イブイン(6:43〓7:10)→井川湖(9:00〓9
       :23)→畑薙ダム(10:05〓10:40)→畑薙大
       吊り橋(11:12)→ヤレヤレ峠(11:45〓11:5
       5)→ウソッコ沢小屋(12:55〓13:15)→中ノ段
       (14:03〓14:20)→横窪峠(14:47)→横窪
       小屋(14:55) 宿泊 (-.-)Zzz

 感 想

 三鷹の自宅を絶ってから、 6時間で車の最終地点である畑薙ダムに到着し
た。南アルプス南部はこれで3度目である。2回共聖岳、赤石岳、荒川三山と
メジャーな山行であったが、今回は最後に残った光岳の山行である。この山は
茶臼岳から地味な樹林帯の山を越えていくため、アプローチも長くて厳しいた
めか、みんながつい後回しになってしまう。しっかりと朝拵えをして、真夏の
太陽が照りつける林道を一路登山口に向かって歩を進める。途中大きな山百合
がプンプンと百合独特な臭いを発散し私達を歓迎してくれた。林道の左側の畑
薙湖は波一つなく静寂の湖面をみせている。

 30分も歩いただろうか。畑薙大吊り橋に到着した。真ん中に細い板が渡し
てあるだけのスリル満点の長い吊り橋をユラユラと揺られながら対岸に渡って
行く。下を見ると水量は少ないが青い水をたたえた川が静かに流れている。吊
り橋を渡るとイヨイヨ登山開始である。いきなりの急登でまだ登山になれてい
ない身体には堪える登りだ。たちまち汗がドット吹き出てくる。春の時期の名
調子で鳴けないウグイスが頑張って登ってこいよと懸命に呼びかけているよう
だ。そんな急登も過ぎて、何とつけた名前がヤレヤレ峠とは、本当に先人も粋
な者である。本当に「ヤレヤレ」である。ここで一本立てて今度は急な下りと
なって沢筋に飛び出す。

 大きな岩石のゴロゴロとしたウソッコ沢を渡って、しっかりとした吊り橋を
3会ほど渡り今度は登りとなる。時より冷風が吹き付けてきて汗ダクダクの身
体には何よりのご馳走である。さすがに南アルプス南部は北アルプスと違って
とても静かで登山客にもめったに出合わさない。だから南部は山も綺麗で好き
な山だ。やがてウソッコ沢小屋に到着しここで休憩して、これからの厳しい急
登に備える。バテ防止に梨をほほばって身体に活を入れて、ヤットコサと腰を
上げて急登に向かう。

 そんな急登の登りも越えると中ノ段に到着した。些か身体もこの急登にはバ
テ気味である。 更に横窪峠を越えると今夜の泊である横窪沢小屋が見えてき
た。ここには平成3年に聖岳に行ったときにテントを張って休んだとこだ。も
う8年も前になるのか。今はとてもテント泊はきつくて小屋泊りになってしま
った。小屋はとても綺麗で早速ビールを飲んでのどを潤し早いが夕食の仕度に
とりかかった。泊まり客は余りいなくて、ゆっくりと休むことが出来た。北ア
ルプスの穂高岳や槍ヶ岳ではこういう分けには行かないであろう。

 7/31

 行 程  横窪沢小屋(5:15)→1回目の休憩(6:12〓6:23)
      樺段(6:50)2200M地点(7:00)→茶臼小屋(7:
      30)〓7:50)→茶臼岳山頂(8:30〓8:47)→仁田
      池(9:05)→希望峰(9:30)→仁田岳(9:45)→希
      望峰(10:08〓10:18)→易老岳(12:00〓12:
      15)→三吉平(13:20)→光小屋(14:50) 宿泊
      (-.-)Zzz

 感 想

 朝、4時に起きて朝食の支度を整え、これから今回のメインである縦走コー
スに出発である。歩程は約10時間と長く厳しい行程である。朝の風はすがす
がしく山の霊気を感じさせて肌に心地よい。

 そんな感傷的なムードも急登であえなく頓挫する。 とにかく斜度がきつく
て、まだ眠っている身体には堪える登りだ。1時間も歩いただろうか。一本立
てることにした。休憩を取って間もなく歩いていると「アラッ、金川さん」と
ダブルストックをついて下山してくる女性に声をかけられた。

 誰だと思って顔を上げると六つ星の牧野 郁子さんではないか。何と今週の
26日の月曜日から入山しているとのこと。やはり光岳にいってきたそうであ
る。天候が悪くて山小屋で停滞していたそうである。それにしても1週間も入
山しているとは、時間に余裕があってうらやましい限りである。

 昨日は茶臼小屋に泊まって、今日は横窪沢小屋で宿泊だそうである。思わず
聞いてビックリしてしまった。何と3時間ぐらいの距離ではないか。マア、ゆ
っくりと歩けば疲れもないだろうから楽に山を登ることが出来るのであろう。

 挨拶を交わして牧のさんと別れて、急登を一歩一歩登り詰めるとやがて樺段
に到着した。ここからお花畑になっており、ハクサンフウロウ、シナノキンバ
イ、ハクサンコヨウ、トリカブトなどの高山植物が咲いており、急登でゼイゼ
イ言っている私達を励まし慰めてくれるかの如く可憐に咲いていた。

 やがて展望の良い場所に立つ茶臼小屋に到着した。富士山がくっきりと大き
く雄大にはっきりと私の視力でも見える。夏空にポッカリと浮かぶ積乱雲の彼
方にりんとした姿で堂々と鎮座している。やはり富士山はどこから見ても絵に
なる山だ。すっかりここの風景に気に入ってしまって、帰りはここに宿泊する
ことにしようと決めた。ここからの富士山の後方から出る日の出は素晴らしい
だろうと想像して、 早くも帰りのことを考えていた。 冷たい湧き水を飲んで
又、歩を進めることにした。

 ガラガラとしたガレ場を登り茶臼岳の中腹に到着した。ここが上河内岳、聖
岳、兎岳の稜線を行く分岐点である。正面に聖岳がドーンと雄大な山容を見せ
ている。 やはりこちらのコースの方が人気があるのはもっともな気がするの
は、この各山々の雄姿を見れば納得できるというものだ。

 私達はそれらの山々を背中にして、茶臼岳の山頂に向かった。山頂に着くと
岩石がゴロゴロとしており、眺めは最高だ。これから行く希望峰、仁田岳の樹
林帯が眼下に広がっている。やはり、こちらは見てからに地味な風景である。

 茶臼岳の砂礫混じりの斜面を下るとやがて仁田池に到着した。池と言っても
小さくてどろっと濁った水があるだけで何てことはない。登山道はここから緩
やかに希望峰に伸びており、今までのきつい登りに比べれば楽勝である。しか
し、希望峰とは、名前も全く良くつけたものだ。

 そんな希望峰に到着して、ザックをここにおいて空身で仁田岳に行くことに
した。往復で30分もあれば行って来られる距離であるので、ここは一番パス
することなく訪れた。視界は最高で今来た茶臼岳がドーンとその雄姿を見せて
いる。空は真っ青でこれをまさにピーカンと言うのだろう。

 仁田岳から戻って、再び希望峰から延々と歩き、イヨイヨ登りの厳しい易老
岳の登り口に到着した。ここら当たりに来るとザックが肩にくい込んで肩も重
く痛くなってきた。 足も疲れが出てきており、 ヨロヨロとしている感じであ
る。汗が噴き出す。喉が渇く。思わず頭に小屋に着いてビールヲおいしそうに
飲んでいる光景が目に浮かぶ。

 そんなきつい易老岳に到着し、一本休憩して更に今度は易老岳の急下降であ
る。明日はここを登ると思うとガッカリしてしまう。今回は全くのピストンコ
ースなので今一、つまらない気分だ。 どうも戻るというのは面白くない。 先
へ、先へと行くのは興味津々で楽しいものだが、歩いた道を戻るのは興味が半
減してしまう。

 三吉平を過ぎ、イザルガ岳のガレ場を登り詰めるとやがて草原となり木道が
一本の線をなして伸びている。今までのきつかった登りと比してここは別天地
だ。そんな草原を過ぎるとやがて新しい光小屋についに到着した。 フーフー
早速ビールを飲んで早めの夕食となり、ビールと焼酎でいい気分になって早々
とシュラフに潜ってしまった。和美は光岳の山頂に他の女性の登山者と行った
ようであるが、私は酔っぱらって気分はハイになっていた。

 8/01

 行 程   光小屋(5:30)→光岳(5:45)→光小屋(6:10〓6:1       5)→イザルガ岳分岐 (6:30) →イザルガ岳山頂(6:45)       三吉平(7:30) →ザラナゴ展望地 (7:55〓:10)→易老       岳(8:45)→希望峰(10:20〓10:30)→茶臼岳(11       :10)→茶臼小屋(11:50) 宿泊
       (-.-)Zzz

 感 想

 朝、出発前に光岳山頂に行くことにした。小屋から10分ほどで山頂に着い
た。樹林の中で視界はなくてぱっとしない山頂だ。それでもみんな南アルプス
南部の百名山と言うことで年々人気度は高い山だ。 山頂で写真を撮っていた
ら、黒いものがさっと横切るではないか。何だと思ったら野ウサギだ。どんな
様子か見に来たのだろうか。初めて間近に野ウサギを見た。下山にも又、その
ウサギが戻ってきて、私達にまるで別れの挨拶をするかの如くさっと駆け抜け
ていった。

 途中で丸坊主のイザルガ岳に行ってきた。光岳よりこちらの方が山頂の展望
は良い。あいにくとガスに遮られて視界はない。ここら当たりは雷鳥の南限だ
そうで、時よりグアグアと雷鳥の声がする。ハイマツもここが南限だそうであ
る。

 今日は昨日の未知を戻るので、興味は余りないが、山は来たときと違った風
景を見せるもので「アレッ、こんなとこ通ったかな。」と感じる所がしばしば
見受けられた。

 茶臼小屋に12時前についてしまって、ここで泊まるのはもったいない気もしたが、横窪沢小屋は泊まったので、早めにゆっくりと一杯飲みながらここに泊まることにした飲んでいい気持ちになってゴロッとしていると見たような、聞いたような姿と声がするではないか。ボーッとした頭で良く見ると何と、六つ星の阿久津 美都子さんではないか。ご主人と二人でテント泊で聖岳の方面に明日行くのだそうだ。それにしても今回は牧野さん、阿久津 美都子さんと二人も六つ星山の会の方に合うなんて珍しいことだ。阿久津 美都子さんは23Kぐらいのザックを背負ってきたとか。相変わらずそのパワーは並ではないな。 (^^;)  ご主人も鼻髭を生やした体格の良いハンサムな方だそうだ。小屋には結構登山客がいたが、寝るのにはゆったりとして休むことが出来た。

 8/02

 行 程   茶臼小屋(5:00)→樺段(5:32)→横窪沢小屋(6:25〓       6:35)→ウソッコ沢小屋(7:25〓7:40)→ヤレヤレ峠        (8:35〓8:52)→林道ゲート(9:50)→赤石温泉(入浴       休憩)→静岡→東京 (^_^)

 感 想

 今日で全て予定のコースをクリアして、暑い東京に戻ると思うとうんざりす
るがこれもせんないことだ。光小屋で和美が意気投合した中年の女性を静岡ま
で車に乗せていってあげる約束をしたので、赤石温泉も同行してもらって、静
岡に向かい一路東名高速を東京に向かった。オシマイ