≪≫Enjoy《ゆーぽぴあ》in2007に戻る



















Enjoy《ゆーぽぴあ・遊歩記》


      第44回・第46回遊歩
春の道志二十六夜山と秋山二十六夜山 ・この二つの二十六夜山を歩く






道志二十六夜山




  遊歩日:   2007年5月5日((土・こどもの日祝日)
  遊歩先:   道志二十六夜山(1297m)
  温 泉:   「芭蕉月待ちの湯」
           0554-46-1126
  参加者:   総数 3名 金川 勝夫他2名
  天 候:    晴れ 


 <行程>

新宿{6:22・10番線中央線中央特快(高尾行)1,280円}→三鷹(6:35)→高尾(7:05着・7:11発)―中央本線(大月行)→大月(7:48着・7:51発)―富士急行線(河口湖行)→都留市(8:05着)―タクシ25分→道坂トンネル

道坂           8:45
御正体山分岐       9:00
1回目の休憩        9:15
岩倉山          9:50〜10:00
御座入山
赤岩(松山)        10:45〜11:00
道志二十六夜山登山口   11:45 
二十六夜山山頂      12:20 
車道           16:00 
芭蕉月待の湯       16:15

 ≪遊歩記≫


 
“二十六夜山と月待ち信仰 ”



 日本には二つの二十六夜山がある。 その二つともが道志山塊にあるというのがおもしろい。 一つは秋山二十六夜山972m。 もう一つは山梨県都留市と道志村に属する標高1297mの二十六夜山。何れも月待ちの行事が行われていたところだ。、 今でもあるかどうかは知らないが、中世から近世にかけて「月待ち」と呼ばれる行事があったらしい。これは定まった月齢の夜に月の出を待つもので、当初は月の神を祀る厳かなものだった。意外と種類が多く、三日月待、十六夜待、十七夜待、十九夜待、二十二夜待、二十三夜待、二十六夜待などがあるとか。このうち、江戸時代では二十六夜待が広く行われ、「とくに正月と7月の二十六夜は,高台で海を臨む場所から月の出を待って,徹夜したという」。後世になるにしたがい、「月待ち」は宴会や遊びの要素が強くなって、農村の休養を兼ねた娯楽になったそうだ。 なんでも、その夜の月を拝むと、月の光の中に弥陀と観音と勢至の三尊が浮かぶという。これが女衆だけが集まって一夜を明かす行事だ、ということになると、なぜか俄然興味が湧いてくる。 三日月の夜といえば、かなり暗い夜だ。 一体、里の女たちは何を思ってこの行事に参加したのだろうか。そして二十六夜山の山頂での彼女たちの会話はどんなものだったのか。その集合場所の山がそのままの名で呼ばれるようになったのも自然な流れだろう。この二つの二十六夜山を分かりやすくその場所から「道志二十六夜山」・「秋山二十六夜山」と呼んでいる。


 山の名前が変わった山なので、かねてから登ってみたかったこの二十六夜山、この5月の連休後半に行くこととした。参加者は今までの遊歩の中では、最も少数の3名だ。私達は都留市駅に降り立ち予約をしてあったタクシーに乗り込み登山口の道坂トンネルでタクシーを降り、登山の身支度を済ませK,MさんがNavigator役で、私がS,Mさんのサポートをして歩くこととした。

 登山道は丁度道坂トンネルの上を歩き進んで行くようだ。最初から急登の連続で早くもS,Mさんの息が上がり苦しそうである。そんなS,Mさんの態度を無視してドンドンと高度を稼ぎ登って行くと程なく御正体山の分岐に飛び出た。ここからも道志最高峰の御正体山に行けるのか。この御正体山には、一度訪れたことがあるが、結構山頂まで時間がかかり急登できつかったことが思い出される。それにしても登山者は私達だけで誰もおらず静寂そのものの山である。

 歩を進めて行くとS,Mさんから「すみません。休んでください。」と声がかかり登山口から丁度30分経っていたので一本立てることとした。S,Mさんは水を補給しうまそうにタバコを吹かしている。私もつられ煙友の義理を果たすべく一本燻らせた。五月の薫風が汗をかいた身体に心地よく木々もすっかりと芽吹き新緑が眼に映えるようだ。休憩を採ったのですっかりと元気になったS,Mさんの足取りも軽くなり急登を歩き進んで行く。

 そんなS,Mさんの足取りも最初だけで再び急速に足取りが遅くなり、サポートロープをグイグイ引っ張ってその度に私も足に力を入れそれに抵抗をするので、私も足取りが重くなってしまった。「オイ、そんなに引っ張るなよ。」と声が荒立ちS,Mさんを叱咤激励をする。「どうもすみません。」とS,Mさんの歯切れの悪い声が返ってきた。そんな様子を見ていたのかウグイスが「ホーホッケキョ、ケキョケキョ、ケケケケ」と何だか笑っているようでとても可笑しかった。

 そんな急登を何とか登りやがて岩倉山に到着した。岩倉山は双耳峰で、二十六夜山方面には東峰からいったん下って西峰に登り返し、距離は短いが、かなりの急登で西峰の山頂には「御座入山」の標識があり、すこしいった先の露岩からは富士山と南アルプスの大展望が得られる。尾根の向うにはこれから目指す赤岩がすぐ近くに見える。ここで休憩を採り水分補給をする。しかし、このコースは急登の連続で、それだけに大変ご立派な体格をしているS,Mさんには堪えるのだろう。

 休憩を採り更に歩を進める。ここら当たりまで来るとS,Mさんも大分息も整い順調に登っている。空はまさに五月晴れで、綿のような雲がポッカリと浮かんでいる。やがて巨岩の赤岩(松山)に到着した。御正体山のドッシリとした山容が見えて吹く風も実にさわやかで気持ちが良い眺めだ。私達が休んでいるとワンちゃんを連れたご夫婦のハイカーがやってきた。そして座っているS,Mさんを見るなり、そのワンちゃんが突然S,Mさんの顔を親近感を心から込めペロペロと嘗め回したではないか。きっと汗で濡れたS,Mさんの顔には塩分がありそれが美味しかったのかも知れない。そんなHappeningがあり休憩を終え更に歩いて行くと登山路は今度は長い下りとなりやがて林道に飛び出た。二十六夜山登山口で一本立ててから、いよいよ今日の目的地二十六夜山へと向かう。

 今度も長い急登だと思って気合いを入れて歩いていたら、何とあっけなく二十六夜山の山頂へ着いてしまった。ここで大休止を採ることとして、先ずは私がクーラーボックスに入れてビンビンに冷やして持参した缶ビールで乾杯だ。ゴク、ゴク、ゴク「コリャアウンメイ」眼前には御正体山が五月晴れの下ドーンとその雄姿を見せている。その更に奥の方には、うっすらと富士山が見える。山頂には私達三人の他には誰もおらず、私達ノンベイ三銃士、これぞまさにお山の大将になった気分だ。

 缶ビールで喉を湿した後は、今度は銘酒をお互い酌み交わし、それからカップラーメンを食べ満腹となりホッとする。そんな私達をお天道様が、優しくポカポカと春の陽射で温めてくれている。お腹は満腹、そしてアルコールですっかりと良い気持となったので、別に急ぐ旅で話とばかりゴロッとSleeping Thymeと一寝入りをすることとした。実にこんな山で昼寝をするなんて本当に久しぶりのことだ。

 そんな昼寝から目を覚まし、何気なく時計を見たら何と山頂へ到着をしてから約、1時間40分経っているではないか。アー実にゆっくりとしたものだ。それで腰を上げ下山をすることとした。
下山路は急下降となっているので、K,MさんにS,Mさんのサポートを代わってもらい登りの時とは比較にならないほどの足取りで順調に樹林帯を駆け下って行く。そんな下りを約、2時間終えてやっと車道へ飛び出た。

 ここから15分ばかり歩き今日の第2の目的地平成16年に建てられた「芭蕉月待の湯」に着きここで露天風呂、サウナ等にゆっくりと入った後、ざるそばを食べ生ビールで乾杯をし、今度はもう一つの二十六夜山「秋山二十六夜山」へ行こうと話をして、今日の充実した遊歩の締めとした。  (^_^)


★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★









秋山二十六夜山




 遊歩日:  2007年6月3日(第1日曜日)
 遊歩先:  秋山二十六夜山(971.8m)・寺下峠(690m)
 参加者:  総数 6名 金川 勝夫 他5名
 天 候:  晴れ

<行程>

新宿{6:44・10番線中央線中央特快(高尾行)}→三鷹(6:57)→高尾{7:31着・7:46発中央本線(河口湖行)}→上野原駅(8:07着・8:28発)―バス45分→浜沢→0:05→高金山キャンプ場→0:20→あずま屋→0:35→露岩→0:10→赤鞍ヶ岳分岐→0:35→秋山二十六夜山→0:03→二十六夜塔→0:50→下尾崎橋→0:10→大曲沢橋→0:30→寺下峠→1:20→塩瀬→0:10→梁川駅→新宿方面へ


 ≪遊歩記≫

 5月5日の「道志二十六夜山」に次いで今日は道志山塊の北東端、秋山川沿いにひっそりと聳える「秋山二十六夜山」の遊歩だ。

 中央本線上野原駅を出たバスは南に車道をたどり、山間の蛇行する道を抜けると広い谷に出る。ここが秋山の村で、右手の山々は南に面して中腹まで畑地が開かれ、明るく穏やかな眺めだ。車道が雛鶴峠に向かうに従い、広かった秋山の谷もだんだんと狭まってくる。秋山二十六夜山の山脚が間近になると耕作地はほとんどなくなり、秋山山稜にも植林が目立つようになる。車窓からはそんな風景を見せながらバスはやがて登山口である浜沢バス停に到着をした。ここで登山支度を整えて、何時の頃からかすっかりと迷コンビとなったS,Mさんのサポートをして、登山開始だ。お天気も曇り空ながらまずまずで、我ら6人颯爽と歩を進めて行く。山々の新緑が実に鮮やかで眼に映える。ヒンヤリとした薫風が頬を撫でて気持がよい。

 登山路は高金山キャンプ場を過ぎると急登となり、またもS,Mさんの足取りが重くなってきた。そんなS,Mさんに私は時々サポートロープを引っ張られながら、S,Mさんとの弥次喜多珍道中宜しく、コナラやクヌギやイヌブナなどの雑木林にアカマツが交じる静寂な山道をドタドタと登って行く。しかし、どうもS,Mさんは急登となると極端に足が重くなり息が上がってハーハーと苦しそうだ。今度鍛錬のために高尾山主脈縦走コースでも誘って、5時間ぐらい歩かせ鍛えてやろうと心に秘め「ハイ、しっかりと歩いて・・・!!!」と声をかけ元気づけ登って行く。

 やがて東屋に到着をしここで一本立てることとした。早速煙友の私とS,Mさんは、皆さんから少し離れた所でタバコを一本燻らせる。しかし、道志二十六夜山と言いこの秋山二十六夜山も相当なる急登でそれだけに登り概のある玄人好みのする山だ。S,Mさんも二つの二十六夜山を短期間で登れたのだから登りがきつくてもきっと満足をしていることだろう。

 休憩を採りまたも登山開始となり、再び急登が続く。暫らく進むと、道が二つに分かれている。道標はなかったが、どちらを選んでも同じ道の筈。 私達は右の直登(岩場)コースを選ぶ。間もなく、思った通り露岩(小さな舟状の岩)へ出た。岩の上から北西側が開けていて、眼前の倉岳山が大きく見える。今度はそんな岩場を慎重に下って行く。やがて主稜線へ出るとようやく急登も終わり気持のよいプロムナードとなり、我ら一行は快適に歩を進めて行く。時よりウグイスの声が「ホーホケッキョ、ケキョケキョ」と聞こえ苦有れば楽有りでS,Mさんも楽しそうに歩いている。やがて雑木林を抜けると二十六夜山の山頂に到着をした。

 ここで昼食タイムとなり、早速持参した冷たい缶ビールで乾杯だ。余り展望はないが、私達だけの静寂な憩いのひと時。しかし、昔はここでしかも女性だけで月を見ながら酒宴を催していたとは、何とロマンチックであろうか。そしてそれぞれ持参した昼食を食べ満腹となったので腰を上げようとしていたら、今日始めての人の出会いである夫婦連れのハイカーがやって来た。そのご夫婦に席を譲り今度はS,MさんのサポートをK,Kさんに代わってもらい下山開始である。歩き出して早々に下山路を間違えてまた、山頂に戻り、何とも締まらない話だがそのご夫婦のハイカーに下山路を聞き登山道を一列縦隊となり快適に駆け下って行く。

 そして頂上から主稜線へ戻り、右へ少し進むと、雑木林の開けた処に二十六夜塔があった。 道志二十六夜山のそれと較べると幾分背丈が低く(約1m弱)ずんぐりとしていて可愛らしい。 道志の二十六夜塔は1854年(嘉永7年)、この秋山の二十六夜塔は1889年(明治22年)の建立、とのことで、何れも古いには違いないが、石碑としては道志のほうが年上のようだ。下りは早いもので1時間足らずであっという間に尾崎の集落へ到着をした。

そして尾崎の県道を横切り、下尾崎橋で秋山川を渡り、5〜6分ほど舗装道路を歩いて、大曲沢橋を渡り更に車道を歩いて行くが、寺下峠への路が分からない。もうかなり歩いているので不安となりまた、最初の県道に戻りその県道を歩いて行き途中で地元の方に寺下峠への道を聞くとやはり、私達が最初に歩いた道が正しかったようで、またその車道へ戻ることとした。引き返すのも時間がかかるので、沢を渡って車道に出て迷いながらも結局、大曲沢橋の所を曲がって沢に出て今度は沢から離れ細い登山道を進んで行くとかなりの急登となり登山道は益々狭く不明瞭で、聊か心配になったがここから引き返すのも時間がかかるので草が生い茂った路を進むと、やがて尾根筋に辿り着いた。そこから10分も行くとちゃんと立派な道標がある寺下峠へ着いたではないか。そこから見ると立派な登山道が有り下へ伸びている。どうやら私達はその正規の登山道よりもルートを上に採ってしまったらしい。

 かなり暮色も濃くなってきたので、急げや急げとばかりにドンドンと駆け下って行く。途中の斜面にはロープが張ってあり、登山道も荒れているようでそこを慎重にトラバースをし、更に歩を進め沢に出てそこからやがて立派な車道へと飛び出た。
 ここから梁川駅へと向かう。そして梁川駅に着きすっかりと着替缶ビールを飲もうとしていたら電車が入ってきたので、慌てて缶ビールを持って電車に乗り込みその缶ビールを飲みようやく落ち着いてホッとする。インターネットの記録にも寺下峠越えが不明瞭だと書いてあったが、まさにその通りですっかり私達も迷ってしまった。

 こうして今日ここに二つの二十六夜山の山歩きを達成したのであった。

  (^o^)  ワーイ   \(^O^)/ バンザイ