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| ――――――――――――――――――――――――――――――――― 肘関節の病気
◆さあ、今回から肘関節の広場をガイドしましょう。 肘の広場にも「ひ・み・つ」が隠されているんですよ。 ▼肘の軸(じく) さて、みなさん。腕を伸ばしてみて下さい。腕全体の形はどうなって いますか?真っ直ぐに伸びてる? いえ。違いますよね(笑) 肘で外側に向いていますよね。それが正常です(笑)。 小学生の時にバケツを持って廊下に立たされた事のある方。おられます? 実はこの時、肘から先は外側を向きます。 ところが、肘を曲げてくると手が顔に届きやすいように、手が内側に 入ってきますよね。これが肘の軸(じく)です。 このように肘の軸(じく)は生理的に傾きがあります。 人間の体は本当に良く出来ていますね。 ▼医者が神様になる瞬間! 整形外科医がお父さん・お母さんなどから物凄く感謝される事があります。 そう。一瞬にうちに治してしまうので「神様」のように思われる事も。 それが、肘内障(ちゅう ない しょう)を治した瞬間です。 では、現場を再現してみましょう。 休みの日に5歳の幼稚園児が、お父さんとお母さんの間で手をつないで 歩いていました。ほのぼの家族ですね。 ところが、チョッと転びそうになった幼稚園児が握っている手を思わず 引っ張ったら、腕をダランと下げて「ワーン!」と泣き出しました。 あわてて、医者に診せると腕をヒョイと捻るとあっという間に治ってしまい ました。まるで魔法のようです。 そう、整形外科医が神様になる瞬間です。 (オーバーですが、親御さんはかなりビックリされます) ▼肘内障(ちゅう ない しょう) さて、この肘内障。少々専門的になりますが、前腕にある骨の一つである 橈骨(とうこつ)の頭が靭帯からはずれかけて、靭帯が関節にはまり込んだ 状態なんです。 まず、小学生になると起こらなくなりますので、ご安心下さいね。 ちなみに、治し方。 肘を曲げながら親指を外に向くように捻るのがポイントです。。 (その時に肘に指をあてているとクリックといって、元に戻った音が 聞こえる事があります。) **************************************************************** -------------------------------------------------------------------- ◆さあ、今回は肘関節の広場の中からニックネームで親しまれている病名を ガイドしましょう。 みなさんにもお馴染みの病名があるかもしれません... ▼前腕を走る(肘から手関節にかけて)二つの滑走路(筋群) さて、ニックネーム病名の前に二つの大事な筋群をガイドしましょう。 まず、ご自分の腕を良く見てください。上腕骨(じょうわんこつ)の下端に 二つの出っ張りがあるのがわかりますね。外側と内側に骨が出っ張っています。 さらにグッと拳を握ると、腕からその出っ張りに筋肉が集中しているのが わかると思います。 実は、外側の出っ張りに付く筋群は手関節の背屈(上に反らす)や回外 (手のひらを上)の役割。内側に付く筋群は掌屈(下に向ける)や回内 (手のひらを下)を担当しています。 これらの筋群が、使いすぎや疲労によって炎症を起し、痛みの原因になる 事がよくあります。 ▼テニス肘(上腕骨外上顆炎:じょうわんこつ がい じょうかえん) テニスのバックハンドや、仕事で手関節を頻繁に使ったり、雑巾絞りなど、 手関節を背屈する筋肉が付いている上腕骨の外側の出っ張りには、いつも 負担が掛かっているんです。 そのため、炎症や腱繊維の部分断裂を起したりして、慢性的な痛みを生じる 事があります。これがテニス肘こと、上腕骨外上顆炎といいます。 基本的には安静が第一ですが、手を使わないわけにはいきませんよね。 痛みが出ないように手の向きを変えるなど工夫も必要です。 多くは数ヶ月で自然治癒します。しかし、稀に1年以上続いて手術が必要に なる事もありますから、軽んじるのは禁物です。 ▼ゴルフ肘(上腕骨内上顆炎:じょうわんこつ ない じょうかえん) 一方、肘の内側の出っ張りには手関節を掌屈させる筋群が付いています。 ここに負担が掛かって痛みを起すのをゴルフ肘(上腕骨内上顆炎)と いいます。 表現は悪いですが、時に「手を抜く」事も大切ですね。使いすぎは良くあり ません。 **************************************************************** **************************************************************** 今回は「野球肘(やきゅう ひじ)」です。 この障害。意外に多いのですが、本人はもちろん、指導者もよく理解して いない方が多いのが現状です。 ▼野球肘:Baseball elbow 野球肘とは投球の繰り返しによって生じた骨・軟骨(なんこつ)や靭帯 そして筋腱(きんけん)付着部の障害の総称です。 これは10歳から13歳の成長期に初発する事が多いのですね。 なぜでしょうか? ▼子供は未発達 子供の骨や軟骨、靭帯、筋肉はまだ未発達ですから、体と連動したスムーズな 投球動作が難しいのですね。ですからどうしても投球動作が手投げ状態になり やすく、肘に負担が掛かってしまうのです。 ▼練習方法や指導が原因? ただでさえ、未発達な子供たちに間違った練習方法や指導。そして練習の やり過ぎが加わるとさまざまな肘の障害が起きてしまいます。 ▼投球動作は5つの動作 さて、指導者の方でこの5つの動作をスラスラと説明できる方がどれ程 いるでしょうか? 1.ワインドアップ期 投球動作に入るまでの動作 2.コッキング期 ボールを持って、肩が最大に外転(がいてん)・外旋(がいせん)する 時期までの動作です。つまりボールを投げる出前持ちのような状態です。 (肩が横に上がり、後ろに反らしている状態) 3.加速期(かそくき) ボールを投げ始めてから、ボールを手放すまでの動作 4.リリース期 ボールが手から離れ、腕の動きが減速される時期までの動作 5.フォロースルー期 ボールを投げ終えてから投球動作が終わるまでの動作 たった1球ボールを投げるだけでも5つの動作が必要なのです。 そして、その動作によって肘に掛かる負担も違ってきます。 チョッと難しいですね(苦笑) 投球動作は5つの動作からなるることをガイドしました。その動作によって 肘に掛かる負担は違っているんです。ここでは、負担のかかる3つの動作に ついてガイドしましょう! ▼コッキング期 →ボールを持って肩が最大に開き、後ろにいく時期 (まさに出前持ち状態) この動作では肘の内側の筋肉や腱が引き伸ばされるので、内側に負担が かかります。 ▼加速期 →ボールを投げ始めてからボールを手放すまでの動作 ここでは、肘が外に開くような力が加わるので、内側への負担がさらに強く かかります。一方、外側の骨や軟骨には、圧迫力や回旋力が加わってきます。 ▼リリース期 →ボールが手から離れ、腕の動きが急に減速していく時期 特に、加速期からリリース期の直前にかけては、肘の後部の筋肉や腱は 完全に伸ばされた上体から一転して筋肉が縮む状態になるので、肘の 後方に負担がかかります。 -------------------- さて、これら一連の動作の障害を部位別にガイドしてみますね。 ▼肘の内側部の障害 内側では牽引(けんいん)力や張力が繰り返されますので、内側の腱鞘炎 や骨端核(こったんかく)異常、骨端線離開(こったんせん りかい) →別名:リトルリーガー肘 などが生じます。 ▼肘の外側部の障害 外側では圧迫力や回旋力が繰り返しかかります。そのため、橈骨(とうこつ) と上腕骨の一部が衝突して血行障害が起こります。そして、離断性骨軟骨炎 (りだんせい こつなんこつえん)や関節内遊離体(ゆうりたい)が発生して しまいます。 *関節内遊離体 「関節ねずみ」とも言われています。 ▼肘の後側部の障害 リリース期からフォロースルー期にかけては肘が伸ばされるため、後方に 牽引力や張力が加わり、上腕三頭筋腱炎(じょうわん さんとうきん けんえん) や骨端線離開などが起ります。 *上腕三頭筋 肘を伸ばす筋肉です。 -------------------- チョッと専門的でしたね。野球肘は奥が深く、これでもかなり絞りに絞って ガイドしたつもりです(苦笑)。 1球ボールを投げるだけでも、肘の内外側や後側に負担がかかるんです。 それが何十、何百球と繰り返し負担がかかると、未発達の子供の肘は悲鳴を あげてしまいます。 子供の障害は時に人生に大きな影響を与える事があります。 お子さんや友人に野球肘で困ったおられる方がいましたら、整形外科の受診を 薦めて下さいね。 ▼治療の原則 原則は保存的治療。つまり手術はしない方法です。 まず、投球動作を中止にします。最も大切な事です。 ▼薬物療法 あまり薦めませんが、痛みの強いときには飲み薬を使います。炎症を抑えて 痛みを和らげるお薬です。いわゆる痛み止めですね。でも、短期間の使用に 限られます。 ▼リハビリテーション治療 -1)温熱療法 超音波やレーザー療法などを使用します。これは局所の血行を改善させて、筋肉 の緊張を和らげたり、痛みを発する物質(発痛物質)を患部から排除する効果が あります。 -2)ストレッチや筋力訓練 肘のストレッチは、肘を曲げる筋肉(屈筋群)と伸ばす筋肉(伸筋群)の ストレッチを行います。ここで、大事な事は決して無理をしない事です。痛みの ない程度で、ゆっくりとリラックスしながら行います。 ちなみに屈筋群のストレッチは片方の手で指先をつかみ、手首を反らします。 (背屈)一方、伸筋群は手首を手のひら側に曲げていきます(掌屈)。 ▼予防がすべて! しかし、何と言っても予防に対する指導が大切です。投球前の十分なストレッチ。 そして、ウオーミングアップを指導して、肘に負担のかからないようにフォームを 確認する事が大切です。 ▼投球数の目安 それでは現在推奨されている投球数をご紹介します。 小学生: 50球以内/日 3日以内/週 中学生: 70球以内/日 6日以内/週 高校生:100球以内/日 6日以内/週 あくまでも目安です。が、いすれにしても練習が過剰にならないように 注意する事が大切です。 -------------------- **************************************************************** |