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八甲田山



山行日   10月9日(金)、10日(土)、11日(日)
山行先   八甲田山(山域 東北)
天 候   9日(金) 曇り 10日(土) 曇りのち雨のち曇り
       11日(日) 晴れ
行 程

10/09

東京駅(JR高速バスラフォーレ号21:30発)→青森駅(6:25着・7:
30発バス)→八甲田ロープウェイ駅(8:17着・8:50発)→山頂駅(9
:01着・9:26徒歩発)→赤倉岳山頂手前爆裂火口地点(10:30)→赤
倉岳山頂(10:47着)→井戸岳(11:03着)→大岳ヒュッテ(11:2
0着)→八甲田大岳(11:40着)→大岳ヒュッテ(12:15着昼食・12
:50発)→上毛無岱休憩所(13:30)→木道終点(14:20着)→酸ヶ
湯温泉 (15:10着・15:50バス発)→猿倉温泉(16:20着) 宿泊

10/10

猿倉温泉(6:05発)→神社前(8:00着)→乗鞍岳分岐点(9:20着)
→乗鞍岳山頂(10:55着)→乗鞍岳登山口湿原入口(12:05着昼食・1
2:35発)→赤倉岳山頂(13:20着)→赤倉岳中間地点(14:20着)
→赤沼(16:00着)→車道地点(16:43着)→蔦温泉(17:10着)
宿泊

10/11

蔦温泉(7:41発)→子ノ口(9:20着・9:30発遊覧船)→休 屋(10
:10着昼食・13:20発)→盛岡駅(15:45着・17:30発新幹線)
→上野駅(20:30着) (^_^)

【八甲田山概要】

青森県中央部,十和田湖の北方にそびえる火山群。新第三紀層を基盤
とし,大量の石英安山岩質の軽石流を噴出したのち生じたカルデラ上
に,輝石安山岩を主に石英安山岩,流紋岩などからなる成層火山と溶
岩円頂丘が散在する。山群の中を西流する荒川と東流する蔦 (ツタ) 川の
谷を境として北八甲田火山群と南八甲田火山群に分けられる。
 北八甲田火山群は南北に並ぶ前岳,田茂萢 (タモヤツ) 岳 (1324m), 赤倉岳
(1548m), 井戸岳 (1550m), 大岳 (1585m。最高峰), 硫黄岳と,東西に並
ぶ高田大岳 (1552m), 小岳,雛岳の諸峰からなる。このうち,赤倉岳,
井戸岳,大岳および硫黄岳は各山頂付近に火山活動末期に形成された
爆裂火口をもっている。とくに井戸岳の円形火口や赤倉岳の北東に開
いた馬蹄形火口はその規模が大きい。北八甲田火山群をとりまく外輪
山は,北側から東側にかけて柴森山,石倉山,黒森と半円形をなして
連なるが,他の部分ではその後の火山活動による噴出物によっておお
われているため不明瞭である。この北東側の外輪山と中央火口丘群と
の間には火口原の田代平 (タシロタイ) があり,起伏の緩やかな草原地帯とな
っており湿原もある。一方,南八甲田火山群は櫛ヶ峰 (1517m。最高峰
), 乗鞍岳 (1450m), 赤倉岳,駒ヶ峰,横岳などからなる。南八甲田火山
群の最東端に位置する赤倉岳は,東に開いた大きな馬蹄形の爆裂火口
をもち,ここからの流下物は蔦川の支流をせき止め,蔦沼をはじめ長
沼など多数の湖沼をつくっている。北八甲田の各火山の山容は,緩や
かなすそ野にくらべて山頂付近が急峻な釣鐘状になっており,これに
対し南八甲田の山々は全般に扁平な形のものが多い。
 八甲田山の植生は多様で,標高を増すごとに亜高山帯,高山帯と様
相を変化させる。標高 400m付近から 1000m付近までを占める樹林は主
としてブナで,森林資源として開発されており,伐採跡地はおもに放
牧地となっている。標高 1000mをこえると亜高山帯で,オオシラビソ
(アオモリトドマツ)を主とする針葉樹林となり,各所に点在する湿
原にはミズバショウ,チングルマなどの湿原植物があり,八甲田の代
表的な景観の一つとなっている。標高 1400mをこえると高山帯でハイ
マツの群落地帯となり,ナナカマド,ハクサンシャクナゲなどが混生
している。頂上付近はガンコウラン,コケモモなどが群生し,ヒナザ
クラ,イワカガミ,ミヤマリンドウなど高山植物のお花畑が展開して
いる。
 周辺には温泉が多く,最も歴史の古い酸ヶ湯 (スカユ) 温泉をはじめ,田
代元湯温泉(ボウ硝泉,48〜62℃), 八甲田温泉(鉄泉,酸性硫黄泉,41
〜50℃), 猿倉温泉(セッコウ硫化水素泉,68℃), 蔦温泉などがある。十
和田八幡平国立公園に属し,南北両八甲田の境を横断する国道 394 号線
を経由して,青森市から奥入瀬 (オイラセ) 渓流や十和田湖へ至る道路が整
備されている。また田茂萢岳西麓には全長 2500mの八甲田ロープウェ
ー (1968 完成)がある。1902 年1月,八甲田山中を耐寒雪中行軍中 199
人の死者を出した青森歩兵第5連隊の遭難事件が知られる。

〔山行記〕

10/9(金)

 JR高速バスで6時25分、早朝の青森駅に着いた。しかし、 高速バスは乗車
したらただ寝るだけなので電車よりも実に良く眠れて、 一日朝から有意義に使え
るので本当に都合がよい。 青森駅の待合い室で朝食を取って一路バスで八甲田ロ
ープウェイ駅に向かった。

 八甲田ロープウェイ駅に到着すると鳥の声が朝靄を突いて聞こえてきた。 この
時期にとても美しい声で鳴いているので一寸変だと思ったら、 何とスピーカーか
らテープで鳥の声を流しているではないか。 全くこうゆうことは止めて欲しいも
のである。

 満員の観光客を乗せてロープウェイは曇り空の中を高度をグングンとかせいで
登っていく。観光客は紅葉に染まった風景を見ながら歓声を上げている。 10分
足らずで山頂駅にロープウェイは到着した。 身仕度を整えてサア、これからいよ
いよ八甲田山の登山の開始である。今回は山もさることながら何と言っても、 猿
倉温泉、蔦温泉と名湯に入れるのでそれが楽しみである。

 10人のパーティは一列縦隊になって良く整備された登山道を赤倉岳目指して
登っていく。この北八甲田山は良く整備されており、 一般の観光客もハイキング
気分で結構登っている。 途中には池塘も点在しており、ガス靄がかかって幻想的
な当たりの風景に良く溶けこんで実に眺めがよい。

 赤倉岳山頂に着いたが風が強く寒さが一団とこたえる。 あいにくとガス靄にか
かって景色は全く見えない。 天気が良ければポッカリと大きな口を開けた爆裂火
口が不気味に見えるのであろうが、 残念ながら見えないので恐怖心も全くないの
で返って良いかも知れない。 寒いので早々に赤倉岳を後にして井戸岳を過ぎ大岳
ヒュッテに向かう。

 大岳ピュッテは、木造建のなかなかきれいな建物でロッジ風になっており、 外
にはベンチが置いてあり登山者がそれぞれに休憩をしていた。 私達は休憩は後に
して、早速一寸した岩場の道を北八甲田山最高峰の八甲田大岳に向かった。 山頂
に着くと高校生の集団が大きな声を上げて元気に飛び廻っていた。 ここでもガス
靄に視界は阻まれて全く見えない。良く晴れていれば360度の展望が金糸、 銀
糸の綾をなして実にきれいであろうが全く残念である。

 そんな大岳山頂を後にしてピュッテに戻ってベンチで昼食を取ることにした。
誰かがラーメンを拵えているのか、 とても良い臭いがして思わず鼻をピクピクさ
せてしまった。 寒いときには温かい食べ物が何よりのご馳走である。お腹を一杯
にして大岳を後に上毛無岱に向かう。 木道が一直線に長々と草原の湿地帯に続い
ており、 草紅葉と当たりの黄葉、 紅葉、 清流の水の音とがコントラストが抜群
で、ここは本当に別天地だ。  (^o^)  関東の尾瀬よりもきれいではないだろう
か。 歩をゆるめて暫し絶景に皆見とれてしまった。 静寂の中の幻想的な神秘
さ。・・・!! ただただ声もない。
 過去、飯豊、朝日、 八幡平と秋の東北山旅シリーズの中では一番今回が良いの
ではないだろうか。 (^_^) (^^) (^^)

 そんな湿原も終わって酸ヶ湯温泉のバス停に到着して、 おきまりのビールヲ飲
んでバスに乗り込んで猿倉温泉に向かった。 早速お目当ての白濁した露天風呂に
冷えた身体をドップリ浸かりながら、冷えたビールで乾杯して、 至福の一時を心
ゆくまで味あい、 今度は夕食でこれ又、 山の幸、 海の幸のご馳走で舌鼓を打っ
て、寝る前に再度露天風呂に入って秘湯の宿に安らかな眠りについた。

 10/10(土)

 早朝6時、猿倉温泉の脇の道を少し進んで左に折れて、後は淡々とした石こ
ろ混じりの登山道が一直線にほぼ平坦に続いている。今日はお天気もどんより
していて朝靄にたなびいていて樹林をしっとりと濡らしている。昨日の北八甲
田山と違って、この南八甲田山は観光客は勿論、登山者も余り歩かないマイナ
ーの山である。いわば今日が実働7時間のメインコースであり、それだけに八
甲田山のブナの原生林の良さが最も分かるのではなかろうか。

 約1時間歩いた神社の前で最初の一本を立てて休憩をした。 古びた石段が
30段ぐらい続いており、山中にしては立派な社が祭られてあり、近郷近在の
人々が祭礼には訪れるのであろうか、結構整備されてあった。

 登山道は実に淡々と更に一直線に続いており、湿地帯のためかシルコロード
があったりして、 みんな登山靴がズブズブと埋まってしまって苦労をしてい
る。
 この当たりは登山道の左手は矢櫃湿原が草紅葉の草原を見せており、水の音
もさわやかに聞こえていて単調な登山道歩きに変化を与えてくれた。お天気は
良くなくて時々雨になって皆、 それぞれに雨具を着たりして黙々と歩いてい
く。

 そんな長い単調な登山道を歩いて3時間、やっと乗鞍岳と一般周遊コースと
の広々とした分岐点に到達した。ここで2回目の一本立てて休憩を取り、沢筋
の登山道を岩と水が流れる急登な道を沢登り宜しく登っていくのである。

 所々に黄色いペンキで岩に印が付いているのでルートは確実であるので心配
はないが、この分だと結構登るのに時間がかかってしまうのではないかと懸念
されてきた。ガイドブックなどによると乗鞍岳から先が道がなくて大きな熊笹
に覆われていて迷い込みやすいと書いてあったので、予め蔦温泉に電話をして
登山道の状況を確認した結果、まあ大丈夫でしょうとの答えだったので、最初
は乗鞍岳のピストンで計画をしていたのだが、それでは余りにもつまらないの
で縦走ルートを取ることにしたのである。

 時より雨が激しく降ってきて、ふと脳裡に明治35年1月末の歩兵軍隊の訓
練の一貫としての雪中行軍で199名の兵隊が寒さと疲労のために命を落とし
た「あ〜八甲田山」の映画のワンシーンが思い出されてきて、「天はついに我
々をみはなしたか。・・・!!」の言葉を叫んで雪の中に崩れ落ちていった兵
隊の無惨な光景が目に浮かんだ。(^^;)  まさかそんなことにはならないと思
うがこの先未知な所だけに明るいうちに蔦温泉につければラッキーである
が・・・ ?

 登山道は何時しか沢筋を乗つ越してやがて緩やかな道となってピークを感じ
させない乗鞍岳山頂に到着した。今まで視界が良くなかったので、山頂にきた
ら曇り空ながらも眼下が広々と見えてブナの原生林が紅葉しており、これから
行く赤倉岳がはっきりと見えたので安心して歩を進めることにした。

 サア、これからが大変である。道は全くなくて、大きな熊笹の薮を両手で笹
を捕まりながら、みんな滑ったり、転んだりして笹を分けつつ下っていく。一
寸離れると先の人が熊笹に隠れてしまって全く分からなくなってしまう。時よ
り大声でみんな確認しあって急な下りの斜面を面白がって下っていく。霧がか
かっていないので目標の赤倉岳が見えるので心配はないが、それにしてももの
すごい熊笹のオンパレードでこんな本格的な薮コギをしたのは初めてである。

 そんな薮コギも終わってホッと湿原に飛び出した。ここで昼食をそこそこに
とって更に赤倉岳に向かった。幸にもここから道は良く整備されており、何て
ことなく樹林の間を抜けて程なく赤倉岳の山頂に到着した。この山頂から再び
一寸戻って急な斜面を大きなブナの原生林を抜けて、明るいうちに何としてで
も蔦温泉に着くために下りなのでグングンと歩を早めて降りていく。しかし、
ここら当たりがブナの紅葉が真っ盛りでいわば核心部であろうか。みんな見と
れて歩く速度もゆっくりとなって自然と一体になり堪能している。そんなブナ
の原生林を抜けるときれいな水をたたえた赤沼に飛び出した。ここで最後の休
憩をして、道も良くなったので一気に歩いてやっと車道の蔦トンネルの登山口
に着いた。ここから車道を歩いて蔦沼を右に見て、やがて古風な蔦温泉にやっ
と到着した。ヤレヤレ (^_^)

 この蔦温泉は昔ながらの木造の宿でどこか湯治場を思わせる古風な建物で、
何しろ私達の部屋まで行くのに、延々と長い百段ぐらいの階段を昇ってやっと
部屋に着くのである。「モウ登るのはたくさんだよ・・・・!!」だと誰かが
話していた。ザックを置いて早速大きな桧風呂の透明な温泉にドップリ浸かっ
て、疲れた身体をジックリと温めて、またまた山海の珍味をサカナにして心ゆ
くまでビールを飲んで、今日のコースを思い出しながら、談笑して山談義に花
を咲かせて遅くまで飲んでいた。

 10/11(日)

 今日はいわゆる十和田湖の観光コースでそれだけに気分も楽で、早朝のバス
に乗車して途中奥入瀬渓谷を車窓から見ながら、のんびりとバスに揺られてう
つらうつらとして子ノ口まで向かった。奥入瀬渓谷も、昨日まで八甲田山の核
心部の自然の美の中野まっただ中にいたので感動も少なくぼんやりと眺めてい
た。

 子ノ口から遊覧船に乗って、満々と水をたたえる十和田湖を渡り休屋に着い
ておきまりの乙女の像を見て、ボートに乗ったりして湖畔で遊んで一路バスで
盛岡駅に向かった。  オシマイ  (^_^)